川北英隆のブログ

売買手数料ゼロは疑不当廉価

SBI証券と楽天証券が日本株の売買手数料(株式売買委託手数料)をゼロにするという。一方で証券会社は証券取引所に取引手数料を支払っている。0.033%が基本料率である。だから投資家から徴収する売買手数料をゼロにすれば、証券会社は赤字になる。何か変だ。
証券会社にとってみれば、取引所に払う手数料だけではない。株式売買システム、株式と資金の受け渡しシステム、関連する情報の提供などにもコストをかけている。つまり実質的な赤字は0.033%よりもさらに大きいのである。赤字を承知で価格設定するということは、定義によればダンピングであり、公正な競争を阻害するとの疑義がある。
それに金融に関する厳然たる格言として、「フリーランスはない」つまり「ただ飯はない」がある。金融以外の状況でもそうなのだが、「うまい話には必ず裏がある」。
商売上手なSBIや楽天が、何の考えもなく赤字で株式の売買をさせてくれるはずがない。投資家にとってゼロは嬉しいのだが、僕が経験するかぎり、今でもネット証券会社の手数料は十分安い。それをさらに安くしてくれなんて考えたこともない。
売買手数料ゼロはコマセである。信用取引などの短期の取引に誘導し(金銭や現物株の貸借が発生して証券会社は儲かる)、さらには仕組債に代表されるような儲けの大きい投資商品や、自社グループの投資信託に誘導するようなことを目論んでいるのかもしれない。
現在、このゼロ手数料体系は関係当局(金融庁が含まれる?)に紹介中とのこと(9/8現在の楽天証券のサイト)。関係当局があえてフリーランチ的な装いの手数料体系を認めるのかどうか。当局の金融リテラシー度が試されている。

2023/09/08


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