川北英隆のブログ

寂地山を周遊する

五竜の滝を過ぎると寂地峡の流れが穏やかになる。その渓流を絡むように寂地山への登山道が付けられている。なだらかな登りが続き、落葉広葉樹や草花を楽しめた。
やがて流れが細くなり、左手の沢に入る。ブナとササの目立つ林の中を、沢を詰めるように登る。高度差250m少しあろうか、やがて稜線が近づき、みのこし峠に出る。1130m地点である。左手に右谷山の姿があり、右(北東)に稜線をたどれば寂地山である。
みのこし峠から寂地山までの稜線上にはカタクリが咲き並んでいた。稜線がブナ中心の疎林となっていて、しかも登山道用にササが刈り払われている。このため日差しがあり、それを受けてカタクリが多いようだった。
尾根のアップダウンは大きくない。快適に尾根を上がり、独立標高点(1309m)のある南寂地山を越える。資料によれば錦ヶ岳との名前がある。このピーク付近から寂地山の丸いピークと、遠くに冠山(1338.9m)のそれと分かるピークを望めた。
少し下り、登り直すと犬戻峡へ下る分岐だった。この分岐付近はブナの下草であるササが刈り払われ、カタクリが一面に広がっていた。ベンチもあり、休息に最適なのだが、寂地山山頂にはもう少し登らないといけない。
分岐から200mくらい歩くと山頂だった。ブナ林の中の山頂のため、展望がない。三角点もなく、1337mの独立標高点のみである。
山頂で少し早い昼食を兼ねた大休止となった。秋に来ればブナなどの落葉樹の黄葉が素晴らしいだろうなと思えた。
昼食の後、先の分岐まで戻り、左(東)へと尾根から離れ、犬戻峡へと下った。立派な杉の植林の中の下りだった。途中に湧き水(延命水)がある。下り切ると犬戻峡に付けられた広い林道に出る。後はそれを案内所まで下った。途中、犬戻の滝への歩道を分けるが、崩壊しているとのことで通行禁止になっていた。
登り3時間40分、下り2時間25分だった。ツアー会社の予定よりも早く下山できたため、広島駅にも早く着き、当初設定よりも1時間半ほど前の新幹線に乗ることができた。
なお寂地山の名について、手元にある桑原良敏『西中国山地』(淡水社、1982年)によると、最初は「じゃくじ」とひらがなで書かれていたらしく、それに「寂地」が当てられ、今のように「じゃくち」と読まれるようになったとか。その「じゃくじ」だが、「石神」ではないかとの説が書かれている。
写真、上は寂地山の山頂である。ブナの林の中にある。下は南寂地山付近から見た冠山であり、寂地山近辺の山域での最高峰である。なお左端のピークが安芸、石見、周防の三国境か。
20250430寂地山山頂.jpg

20250430冠山を.jpg

2025/04/30


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