川北英隆のブログ

通貨分散先としての米国

アメリカの信用格付けが下げられた。信用格付け機関の世界的大手として3社(Moody's、S&P、Fitch)がある。このうちムーディーズがアメリカを最上位のAAAから1つ引き下げ、Aa1にした。他の2社はすでにアメリカの格付けを最上位の1つ下にしている。
このため、ムーディーズの対応はびっくりするものではない。今回の格下げに意味があるとすれば、トランプに政権が移って以降の世界経済の旗手らしからぬアメリカの行動に、「変だ」とのラベルを張ったことか。
そのアメリカだが、トランプが掲げる減税政策に議会が待ったをかけた。与党である共和党議員に造反者が出たため、減税法案が否決された。アメリカの政治家にはまだ良識派が健在なようだ。
日経新聞はこのアメリカの格下げに対し、危機感を煽る記事を並べた。アメリカの危機であることは確かなのだが、かといって「今すぐアメリカから逃げるべきか」と問われれば、「ノー」である。
芸能人格付けチェックではあるまいし、アメリカがすぐに舞台から消えるはずもない。むしろ心配するのなら、我が国、日本である。国債発行残高(対GDP比)が先進主要国の中で飛び抜けて高いのに、それを無視して多くの政党が減税を叫び、人気取りに余念がない。コメ問題1つでさえ解決できない。これで日本国が持つのかと、本気で心配してしまう。ちなみに日本の信用格付はアメリカの3つもしくは4つ下にある。
1990年代後半から僕は金融資産の通貨分散を心がけてきた。当時は「日本がダメ国家だ」とはあまり考えず、(金融リテラシーが唱えるように)分散投資を心がけるのなら、(金融リテラシーが一言も勧めない)通貨もそうだと単純に思っただけである。結果は、ブラジルと南アフリカは失敗の巻だったが、それ以外は、あまり変な国の通貨を買わなかったから、まあまあ成功だろう。
現在、通貨分散するのなら、どの国がいいのか。知人に書いたのだが、「ユーロは烏合の衆という感じ、オーストラリアやカナダは経済が偏り過ぎ、イギリスはまだ衰退してる、その他の国は信用でけへん、ということで、通貨分散の先としての筆頭は消去法的にアメリカしかあらへん」となる。

2025/05/19


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