川北英隆のブログ

米に対する与野党の無策

米とはアメリカであり、コメである。アメリカに対して日本全体が無策であるのは、日本がアメリカに多大な恩を受けてきたからに他ならない。今もアメリカなしでの日本国の存立は危うい。一方のコメはどうか。
与野党ともお百姓さんを敵に回したくない。その背景には一俵違う一票の重みがある。農業従事者の多い地方の一票の重みは、都市部の一票の最大3倍である。これに加え、JAを中核とする利権団体がいる。町医者を中核とする利権団体とどちらの力が強いのかはわからないし、調べてもいないが。
ガソリンや電力にはすぐ税金をつぎ込み、価格を安くしようとして、環境団体の顰蹙なんて関係ないと大っぴらに振る舞ってきた。しかも今も「税金をまけてガソリンを安くせえ」と叫ぶ。
そのくせに、もっと生活に身近なコメに関しては、野党を中心に農水省を責めるだけで、たとえば「コメ5キロ買ったら1000円の地域タダ券を配る」とか、そんな補助金政策を何1つ提案しようとしない。何故か。要するに与野党ともコメの値段を安くしたいとは本気で思っていないからである。
だから、「コメは売るほどある」発言に、「待ってました」とばかり一斉攻撃をかけ、大臣を落城させてしまった。つまり揚げ足取り的に対応して、「コメ暴騰問題に熱心に取り組んでる」振りをしただけである。
トランプとのディールにおいて、カリフォルニア米をがさっと買えばいいのではないか。そのコメについて、農水省として農業経営に必要なコメ価格をきちんと設定し、その値段で国民に売り出せばいい。一挙両得である。
そんな簡単なことをディール材料にしないのは、結局のところ、「現状維持しか手がない」「それが無難」「コメという猫の首に鈴を付けに行きたくない」と与野党とも思っているからにすぎない。「猫はコメを好きでないし」って違うか。
これでは、昨年の夏に「新米が流通すればコメの値段は下がる」と大見得を切り、何も手を打たなかった今回の落城大臣(名前を憶えていない)と同罪である。

2025/05/22


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