カイラス巡礼の拠点はタルチェン(巴嘎鎮)である。カイラス山の南麓に位置し、そこから直接流れ下る沢の扇状地に広がり、標高4650m前後ある。町にはホテル、食堂、商店が続いている。チベット仏教の巡礼者はテントや車を用い、町近郊に宿泊しているのだろうか。
タルチェンからは公共バスも出ている。北西5キロほど先にチュク・ゴンパ(チベット寺院)があり、そこから本格的な巡礼路が始まるので、そこまではチベット仏教徒でなければバスでもOKというわけだろう。
タルチェンからはカイラスの山頂を望むことができる。宿泊したホテルの部屋からは見えなかったが、通りから見える。もっともタルチェンに着く前、その南にある聖なるマナサロワール湖から、北西にそびえるカイラスと、南に大きく展開しているヒマラヤの一角(ナムナニ峰、7694m)を展望していたため、タルチェンからのカイラスの頭だけの姿には少し物足りなさを感じた。町の中からカイラスが見えることだけでも本来は素晴らしいのだから、贅沢な物足りなさなのが。
タルチェンに泊まった翌日、チュク・ゴンパの手前、タルポチェまで足慣らしと高所順応のために歩いた。カイラスの山裾に沿って道が続いている。パラパラと草とごく背の低い灌木が生えるだけの道だった。ただし巡礼用に整備されていて歩きやすい。その巡礼路の少し下には車道が付けられていて、乗用車やバスが走っている。
少しずつ高度を上げ、4770m付近で多数のタルチョ(経文の書かれた小さな五色の旗)の飾られた尾根を越えた。その後は緩やかに下り、河原に出た。タルポチェと呼ばれる場所である。トイレとバス停があり、左奥、河原の上にチュク・ゴンパが見える。右手には祭り場があり、その奥に平らな鳥葬場跡(現在は使われていない)があった。
当日はこのタルポチェまでとした。2時間半程度の歩きだった。
公共バスでタルチェンまで戻った。地道をかなりのスピードで走るバスだから、砂埃がひどいのだが。このバス、1時間に2便以上あるようだ。
写真、上はマナサロワール湖付近からのカイラス、下はタルチェンからのナムナニ峰である。
2025/06/08