川北英隆のブログ

カイラス巡礼-2

タルチェンに2泊した翌朝は、いよいよ巡礼への出発日である。まずは前日歩いたタルポチェまで公共バスで移動する。要するに昨日の足慣らしは巡礼路を完全に歩くための最初の一歩でもあった。
公共バスなのにホテルの前まで迎えに来てくれた。現地ガイドの力なのだろう。町中の本来のバス停でも客を乗せ(バス停から先は一般車進入禁止)、タルポチェに着いた。タルポチェのバス停は標高4730mある。そこから当日の宿舎、ディラ・ブク・ゴンパの対岸5080mまで上がっていく。標高差たった350m程度とはいえ、高所だから日本の山のようには簡単でない。
最初は平坦な河原歩きである。左岸(東側)が一般のルートである。その河原は巡礼道であり、車の行き来する車道でもある。高山病で倒れた者を救助するための救急車両も走っていた。
チュク・ゴンパを左に、元鳥葬場を右手に見つつ歩く。カイラスの大きな姿が元鳥葬場の奥に見える。巡礼者のテント場もあり、そこに餌を求めてカモメの仲間が集まっている。草木はほとんどないながら、サクラソウ科トチナイソウ属の一種だろうか、コケのような花のような植物が所々に見られた。
やがて河原に緩やかな傾斜が出てくる。多少のアップダウンもある。対岸の岩稜には水の流れた跡がある。雪解けの季節なのか、滝がかかるのだろう。
馬に乗って散策する人、五体投地の人が交じる。我々の宿泊用の荷物を運ぶヤクの群れが追い抜いていった。途中に小屋があり、そこで軽く昼食をとった。
カイラスからの小さな西尾根を回り込むようにして、河原の道は東に向きを変える。それに従い、カイラスは北の斜面を見せるようになる。宿泊したタルチェンや歩き始めたタルポチェからは南斜面が見えており、河原歩きの途中でちらっと西斜面が覗いていた。その西斜面は大きくなく、すぐに北斜面に変わったことになる。
やがて対岸にディラ・ブク・ゴンパが見え、沢に鉄の橋が架かっていた。宿舎は小さな沢(カイラスの北斜面から流れ落ちる沢)を渡った先にあった。その沢から見るカイラスが一番絵になると説明されたが、着いた時間帯にはカイラスは雲の中だった。
宿舎は大きかった。建物の中にテントを張れる。弁当用のプラ製の皿が渡され、出された食材を自分で盛って食べる。トイレは建物の外にあり、男女別のニイハオ式だった。部屋は4人用で、窓からカイラスが見えた。雲も切れ、カイラスが少しだけ赤く染まった。
タルポチェを出たのが10時、ディラ・ブク・ゴンパの宿舎に着いたのが17時20分だった。
写真、上は荷物を運ぶヤクである。奥にカイラスの西斜面と山頂が見える。下はディラ・ブク・ゴンパからのカイラスである。北斜面が見えている。
20250609ヤクとカイラス.jpg

20250609ディラブク・ゴンパからのカイラス.jpg

2025/06/09


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