川北英隆のブログ

カイラス巡礼-3

ディラ・ブク・ゴンパの宿舎は高所に位置するだけに寝苦しかった。しかし何とか寝られた。夜中、トイレのついでに星空を見る予定だったが、宿舎からの光が予想外に多く、あまりよく見られなかった。
翌朝の出発は、11名のツアー参加者のうち、5名がリタイアした。高山病のためである。タクシーを呼んで戻るという。また先に進む6人のうち、2人はポーターに荷物の多くを運んでもらっていた。全員の、次の宿泊用の荷物をヤクが運ぶのは前日と同じである。
宿泊施設から登りが始まる。急ではないのだが、高所なので「登っている」と感じられる。しかもガイドが登山家でないため、ペースが合わない。道の方向がやや南向きに変わり、傾斜がゆっくりと急になる。右手の谷に、氷結半ばの小さな水溜まりも出現し、タルチョも多くなる。近くに峠(巡礼路の最高地点であるドルマ峠)らしき姿が見えてくるが、なかなか近づかない。そのうち、時折雪混じりの天候になった。非常に寒い。足回りが日本の冬の低山の対応でしかなかったことを後悔した。つまり足が完全に冷えてしまい、感覚がなくなる寸前に近かった。
ドルマ・ラ(ドルマ峠、5668m)はタルチョに埋め尽くされていた。完全な祈りの場だった。場所によってはそのタルチョが、線香などから燃え移った火で黒焦げになっている。カイラスは見えなかった。地図で確認するかぎり、前衛峰に遮られているのかもしれない。
峠からは下るのみである。雪渓混じりの道を下り、やがて急な斜面となる。五体投地の信者が滑るよう下りる箇所もある。鉄柵で保護された道を下り終わると小屋に着く。カイラスの東側を流れる大きな沢の河原である。巡礼の難所を終えたことになる。
後は沢に沿った下りとなる。ただしカイラスの西側のような河原沿いの道ではない。小さなアップダウンを繰り返しながら、沢を下に見つつ歩くことになる。途中、カイラス東壁がちらっと見えた。
少しくたびれた頃、ストゥル・ブク・ゴンパの宿泊施設に着いた。4800m地点である。ディラ・ブク・ゴンパと同様の宿泊施設があった。
部屋が決まった後、ついでなので宿舎のすぐ上のストゥル・ブク・ゴンパを見学した。3人で10元のお布施を出すと、小さな洞窟の寺院の見学ができ、聖水(サフラン水)をたばれた。
写真、上はドルマ・ラである。下は少しだけ見えたカイラス東面である。
20250610ドルマ峠.jpg

20250610カイラス東面.jpg

2025/06/10


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