川北英隆のブログ

ヤルツァンポ川

今回のチベット、ラサからカイラスまでの道中の楽しみはヤルツァンポ川だった。中学か高校の時、地図帳を見ていてヒマラヤの北側に沿って長い川が描かれているのを知った。ヤルツァンポ川であり、ヒマラヤ東部を横断してベンガル湾に注いでいる。受験とは無関係だが。
インドの大河としてインダス川とガンジス川を習った。しかし陰の大河はこのヤルツァンポ川、インド側に入っての名はブラフマプトラ川である。ベンガル湾の手前でガンジス川と合流する、というか水量的にガンジス川を飲み込む。その地点はバングラデシュである。
6/6に書いたとおり、ヤルツァンポ川の源流部はカイラスにある。インダス川とガンジス川の源流部でもあるのだが、ヤルツァンポ川だけはチベット南部の高山地帯を延々長旅しつつ、ゆっくりと流れ下る。これだけ長い距離をかけて高地を流れる川として、ヤルツァンポ川は世界一だろう。黄河、(これも受験に関係ない)3江併流の揚子江、メコン川、サルウィン(タンルイン)川もチベットの高所を流れるが、残念ながらすべての源流はチベットの東部だから、高所を流れる距離として長くない。
ラサ付近のヤルツァンポ川は過去に3回見た。1999年7月と2002年4月には水量が少なかった。それが2007年9月には様相が一変していた。チベットは6月から9月にかけて雨が多くなり(といっても月間100ミリ程度)、さらにヒマラヤの雪解け水を集め、水量が非常に多くなる。そのためヤルツァンポの流れはまさに湖だった。
今回は5月末のヤルツァンポ川だった。水量は多くなく、砂地の河原が広がっていた。乾季でも河原を含めると(どこまでが河原なのか不明な箇所が多かった)大きな川をイメージできるものの、実感が伴わない。
今回、何回かヤルツァンポ側を渡った。9月にもう一度来たいなとも思ったところ、現地ガイドが説明するには、最近のヤルツァンポ川の水量が少なくなっているとか。温暖化によって山岳部の解けるべき雪がほぼなくなったのだとか。だからチベットの風習である水葬が難しくなったとも。そう説明されると、ますます9月に再訪したくなった。
ついでに書くと、中国はヤルツァンポ川に大規模ダムを建設しようとしていて、進行中だとか。それが完成すれば水葬は夢のまた夢だろう。
上の写真は2007年9月のヤルツァンポ川である。下はシガツェから見て上流部で渡ったヤルツァンポ川の橋である。
20250613ヤルツァンポ川07年9月.JPG

20250613ヤルツァンポ川の鉄橋.jpg

2025/06/13


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