朝8時に篠山口に着ければ、神姫バス草山温泉行きに乗って栗柄に入れる。昨年11月に篠山の名峰、三岳を歩いた時に気づいた。今回はそのバスを使って鋸山を歩くことにした。
このバス、途中の(丹波篠山)西支所まで利用者がいるのだが、その先は前回も今回も僕だけだった。「地方の赤字路線バスの応援かな」とか、ふと頭をよぎる。
栗柄は倶利伽羅であり、不動明王の持つ剣に巻き付く竜であり、倶利伽羅紋々のクリカラでもある。この栗柄にも倶利伽羅不動の滝がある。
今回初めて知ったのだが、この滝は珍しい地形の進行形を表している。「くりから谷中(こくちゅう)分水界」の看板がある。ここでは日本海へ注ぐ北側の竹田川(由良川の支流)が、太平洋(瀬戸内海)へ注ぐ南側の宮田川(加古川の支流)の上流部を奪おうとしている。
写真ではうまく撮れないので、国土地理院の地形図のコピーをアップしておく。北側の谷の傾斜が急で(だから滝もある)、その谷が削れ、やがて南側の緩やかな谷を食い破り、東側(右側)に続く谷の自分の流れにすることが想像できる。谷の争いである。2つの谷の境を剣道が走っているため、しかも北側の谷の上流部に栗柄ダムが造られたため北側の谷の勢いが止まり、人工的に谷の争いが妨げられているようだが。
竹田川の不動の滝をついでに見学しようと思ったのだが、方向を間違った。県道の三叉路から北に伸びる細い道を進み、竹田川沿いに西へと下るべきだったのを、「近道や」と思って三叉路から県道を西へ歩いた。この結果、不動尊と滝を上から見下ろすことになった。
それにしても変な地形というか地形図だ。「何が」というと、アップした地形図の栗柄峠の位置が川の横にある。確かにそこが市境なのだが、本来の峠は県道の三叉路だろう。変な地形だから、それにつられて地形図も変になったようだ。
滝を上から見た後、鋸山の尾根に取り付いた。峠の横が広くなっていて、そこにバイクが2台停まっていた。彼らも尾根に取り付くらしい。加えて栗柄口に車を停めた60代らしい夫婦も登山口に向かってくる。
草で覆われたように見える登山口の写真を撮っているうちに、2組が先に登っていった。それを追いかけるように登り始め、夫婦に追いつくと、オバちゃんが喋りかけてきた。今年3月、同じルートを歩いて堂の峰まで登ったのだが、ヤマップに登録しようとしたところ、堂の峰の手前で折り返したことに気づいたので、今回はそのリベンジだという。
登山口からは栗柄峠の切り通しのすぐ上に出る。この付近に栗柄砦があったらしい。バイクの2人はこれを見に来たようだ。
切り通し上部の草の斜面を登り、自然林に覆われた尾根に入る。後は尾根伝いに歩けばいいのだが、部分的に踏み跡が不明瞭である。350mの小ピークの先で尾根が南西向きから西向きに変わり、ここで一度ルートを誤った。
その後は小さなアップダウンを繰り返しつつ徐々に登っていく。左前方に御在所山、右前方に堂の峰を見つつ登りが続くと、じきに分岐である。ここでリベンジ夫婦と分かれ、御在所山に向かった。
急な登りだが距離はない。展望のある岩場に出る。そこからは堂の峰が円錐形に見える。その岩場のすぐ上が御在所山の山頂だった。三角点(443.3m、点名は浅木谷山)があった。山頂は自然林に覆われ、展望はないに等しかった。
地形がと写真である。上の写真は不動の滝、下は御在所山の山頂である。なお60代夫婦の記録はヤマップにアップされていた。鋸山まで歩いたようだ。
2025/06/23