川北英隆のブログ

日刊木材新聞社を見学する

日刊木材新聞という業界新聞がある。終戦直後(1945年10月)に創業したので、今年で80年になる。75周年の時、つまり5年前に当時の社屋が手狭になったとかで、建て替えたという。その本社を見学すべく、日刊木材新聞社を訪問した。
実は社長(今は会長)のO氏は中学校の同級生である。僕がサラリーマンほやほやで大阪勤務の時、O氏も駆け出しの記者だった。一度だったか(複数回かもしれないが)、会社に来たことがある。当時の合板トップの永大産業が経営破綻した時である。永大産業は木材関係のトップ級の企業だったから、業界紙として大事件だったのは確かなのだが、とはいえこちらに確かな情報があるわけでない。僕としてはただ単に旧交を温めただけだった。
その彼との縁がどういう理由で深まったのかは忘れてしまったが、30年ほど前のニッセイ基礎研究所時代、森林調査プロジェクトの記事を日刊木材新聞に掲載してもらった。僕はよく知らなかったが、O氏は社内ですでに偉く、力があったのだろう。20年少し前に社長になったという。
その彼が建て替えたという日刊木材新聞社が、木造建築であり、ユニークな外観をしていることは何年か前に知った。一度、見学をと思っていたところ、つい先日、その機会が訪れた。そこで地下鉄東西線の門前仲町近くにある本社を訪問した。江戸から昭和にかけての木材の集積場、(広義の)木場にある。
外観は木造だから目立ち、遠くからもすぐに「これや」とわかった。入口のドアもユニークで、木の外観をイメージした飾り(彫り)がある。入ると、木製の棚があり、そこに木材や木材関係の会社に関する本が陳列してある。「素晴らしい」「これほどの蔵書を一括して見られる場所はない」と思った。
案内されて木の螺旋状の階段を上がり、3階の会議室兼社長室に行く。大きなテーブルがある。ニレの埋れ木を買い取り、大きな会議用のテーブルにしたという。天井、床、西日避けの一種の木製カーテンなど、5年前の最新の技術を用いて木を自在に用い、部屋が造られている。「こんなことができるのや」と思ってしまった。
2階は記者が作業する部屋である。一部に3階との吹き抜けがあり、節のないヒノキの天井があり、木の新聞棚があり、そして3階にまで続く木のカーテンがありと、さまざまに工夫というか実験がある。
そんなに木を中心とする建物の中でのO氏との楽しい語らいの1時間は、あっという間に過ぎた。そうそう最近では外国からの見学者もあるとか。E(環境)やS(社会)を意識するだけではなく、それを先端的に実践した社屋だった。
20250626日刊木材新聞社.jpg

2025/06/26


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