川北英隆のブログ

社会のタイパも考えてんか

短縮語のオンパレード、その中で古くなったのがタイムパフォーマンスのタイパ。それを目指すのか、ながらスマホ族がますます隆盛を極める。通勤時間帯の駅や階段はもちろん、ガラガラ族で大混乱の東京駅でも大手を振っている。って、大手を眼前に構えて歩いている。
そんな輩が向こうからやってくると、前にも書いたように、僕は避けない。なんでそんな輩のためにこちらが横に避け、一歩余計に足を使わないといけないのか。なんで相手にフリーライダー(タダ乗り)ならぬフリーウォーカーの特権を与えないといけないのか。理解不能だからである。
このため駅ではよくぶつかる。もちろん正面衝突の経験はないが、肩が大きくぶつかったことはあったような。多くの場合、「かする」程度なのだが、身構えていない相手には少しダメージがあるかなと思っている。もちろん「怖いお兄ちゃん」「怖いおっちゃん」らしき輩かどうかは瞬時に判断する。相手がそれらしいようなら、仕方ないので避けるようにしているが。
そんな昨今、新たな怒りの相手が多くなった。混雑の中で僕の前を歩くながらスマホ族である。ながらスマホだから、トロロでもあるまいにトロトロ歩いている。本人にトロトロ感がないにしても、その彼/彼女の前の歩行者との間に空間ができてしまう。だからそんな輩の後ろで歩いていると、「前の歩行者との距離を詰めろや」となる。
つまり、輩はタイパのつもりかもしれないが、輩の後ろを歩く者にタイパの逆、逆タイパが生じる。「ワテの時間を返せや」「その時間に見合った対価、時間給を払えや」となる。
もちろんそんな発言をしても仕方ないので、人の流れを見極め、ながらスマホのトロトロ族の前に出る。当然ながら、こちらに向かって来る混雑の流れがあるから、トロトロ族を抜いた瞬間、さっと元の流れに戻る。それがある意味でトロトロ族への戒めになるのではと感じている。輩のスマホに僕の背中が触れるか触れないかの絶妙の距離感で追い抜くからである。
サラリーマンの頃、今と違って超満員の通勤電車に乗っていると、漫画本や小さく折りたたんだ新聞を読んでいる輩がいた。新聞や漫画本が背中に当たるし、輩が「読める空間」を強引に確保するので、こちらが変な姿勢で立たないといけないことがある。そんな話を上司としていると、「わざと身体を前後左右に揺らすのや、そしたら後ろの輩の目がすごく疲れるやろ」と教えてくれた。
タイパもいいが、それが周囲の犠牲を強いていないのかどうか考えて欲しいものだ。「ちいっとも考えない輩に呪いあれ」と思うが、いずれにしても社会的に底辺暮らしが続くだろうし、金融で儲かることはゼロに近いだろう。とすれば、「そもそもの呪われ族やな」と、そんな呪文を思いついた。

2025/06/27


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