スロベニアから帰り、旅行の記録を整理し終え、少し職業関係に戻ろうと、お試し程度にしか使っていないネット証券会社Sのサイトに入ってみた。詐欺事件に端を発し、新たな認証制度が導入されているので、その確認の意味もあった。と、再びグシャ愚者になった。
多重認証の一環として、Sは独自アプリのインストールか電話の登録を要請している。前にも書いたとおり、独自アプリのインストールは極力避けたいし、Sの口座はほとんど空である。そこで、とりあえずのところ簡便な電話認証にしているのだが、簡便とはいえSの場合、こちらからフリーダイアルに電話するという面倒?さがある。
この面倒?さから、「銀行とSとの資金のやり取りを自動振替にしたいな」と考えた。ネット証券会社Rはこの方式が使えて非常に便利である。そこでSの入出金の方法の変更を試みた。
言っておくが、どの証券会社のサイトもログインパスワードと取引パスワードとの二重構造になっている。だから昨今のように詐欺に遭うには、この2つのパスワードを盗んでもらわないといけない。詐欺師を余程信用したのか、余程巧妙な仕掛けに陥ったのか、どちらかだろう。なお証券会社との取引方法などの設定の変更にも取引パスワードが必要となる。
本題に戻って、Sと銀行との現金のやり取りを「リアルタイム入金」にした。次に「限度額を決めろ」と書いてあるように思ったので「入金限度額」を設定して送信した。ところが何と、その金額は「入金金額」だった。つまり銀行からSへと資金を振り込んでしまった。どうもSでは、Rと同じような銀行との即時かつ自動的な資金のやり取りが不可能らしい。「遅れてる」と言うべきか、「セキュリティが厳格」と言うべきか。
でも慌てる必要はない。入出金の手数料はゼロだから、「同じ金額を出金すればええだけや」と振り込んだ金額をリアルタイム出金しようとした。と、画面に「注文停止中のため受付られません」と表示され、出金できない。この瞬間に「ええっ」となった。
「Sに悪いことした覚えもないのに」と設定を調べた。分からない。サポートのページに入っても分からなかったが、「AIチャット」という表示が目に入った。AIに注力しているソフトバンクグループのことだからさぞかし賢いのだろうと思い、そのAIに質問してみた。答えはというと、「よくある質問」に書かれていることの繰り返しだった。「お前はアホか」(横山ホットブラザーズかな、古いな)と書いてAIから離れた。
最終手段はカスタマーサービスセンターへの電話である。詐欺事件のせいか電話が混み合っているらしく、臨時のフリーダイアルがあった。そちらが空いているだろうと電話したのだが、要領の得ない男性が出てくるだけで終わった。正規のフリーダイアルに電話した。5分程度待ったが、ちゃんとした女性が出てきて解決した。
要するに、「(川北さんに)当社から電話したところ、連絡がとれなかった(電話がつながらなかった)ので注文の受付を停止した」とか。女性の対応は良かったのだが、Sという会社として大いに疑問である。
1つは、携帯に電話したのだろうが、最近はしょうもない勧誘電話はもちろん、詐欺電話が多い。だから僕として、登録してある番号からかかってきた時以外は携帯に出ないことが多い。僕だけではなく、そのような自衛策を講じている個人が多いだろう。そもそも電話音声を多用するSって、「ほんまにソフトバンクの子会社なんかいな」と疑ってしまう。
2つに、それなら入金の受付をしないでほしい。入金の受付をしたということは、僕という個人の口座を確認したということだろう。とすれば入金を受け付けた時点で、注文受付停止を解除してほしい。多少の疑いが依然として残るのであれば、入金を受け付けた時点で口座確認のための連絡を何らかの方法でしてほしい。
3つに、担当から口座確認の電話をするとのことだったのだが、それが翌営業日になるとか。サービスセンターに電話したのはまだ15時台半ばだった。証券会社として、しかも資金決済関係への対応として、とろすぎる。顧客本位ではなく、会社本位なのだろう。電話の多用も、出金は駄目で入金だけ受け付けるというのも、顧客の都合は後回しという文脈で考えれば、ぴたっと理解できる。
ということで、さすがダボハゼ証券と揶揄されてきたSだけある。売買手数料ゼロを主張した点は、一個人として(社会正義的には疑問ながら)大変嬉しい証券会社だったのだが、残念。
2025/07/26