野分、いい言葉だ。野原の草の中を強い風が吹き走る光景だから、それを見ているヒトもいる。台風は怖い存在ながら、恵みをもたらす自然現象でもある。さらには日常が乱されたり壊れたりし、新たに蘇る転換点でもある。日本の古典文学にもよく登場する。
何を隠そう、僕は台風が好きである。とはいえ前にも書いたが、第二室戸台風は怖かった。1961年9月に上陸した台風だから、小学校5年生だった。家が吹き飛ぶかと思った。実際、近くの映画館(元映画館だったか)の屋根が形のまま飛んでいた。
それ以外の台風はあまり覚えていない。伊勢湾台風(1959年9月)も騒がれたわりには怖くなかった。(確か)夜中に通過したこともあり、記憶にないのかもしれないが、家では誰も騒がなかったから、奈良県として大したことがなかったのだろう。
それはともかく、昨日は台風15号が近畿の南部を横切った。大雨の降った地域もあったらしいが、京都にとっては恵みの雨だった。焼けていた道路や建物が冷やされた。台風通過後、北の寒気が流れ込み、今朝の最低記憶は23.5度と久しぶりの「熱帯夜あらへんで」となった。
この台風、豆台風である。常時追ったわけではないが、台風としての最低気圧は992hPaだったようなので、それが豆ちゃんの最大の証拠である。
近くの老舗豆菓子屋にその昔、マメちゃんという九官鳥がいて、「マメちゃん、英会話」と喋っていた。台風15号には悪いながら、要するに京都にとっては「マメちゃん、台風ごっこ」程度かな。
台風にも良い側面がある。今年の夏のように、晴天にも悪い側面がある。「相手の言い分を聞かずに判断してはいけません」とは、「ヴィランの言い分」の八嶋智人氏の台詞かな。ついでに八嶋智人氏は奈良女付属の卒業生だ。
2025/09/06