川北英隆のブログ

多様性を鵜呑みに画一化

ある会議で議論していて気づいたことがある。以前から引っ掛かっていたテーマの真相なのが、いろんな観点から明らかになったため、ここに記しておきたい。何かといえば、多様性と言いつつも、画一に陥るリスクである。
端的に述べれば、政府が「多様性を図れ、女性や外国人やの登用・・」と言い、企業はそれに唯々諾々と従う。その政府の方向性はいいとして(本音では、女性の活躍の場はもっといろいろあると思うが、それは言わないとして)、企業は「へへっ、かしこまりやした」と役員や管理職に登用する女性や外国人の割合を増やしている。もう少し書いておくと、特定の女性の取締役が3社も4社も兼務する例が多いのは、外面を飾っているだけである。
そんな雇用実態だけではなく、もう少し巨視的に見ても、企業経営の画一性が進んでいる。今日的には、「東京に、それも最寄り駅が複数ある地点に」が大企業の人気である。要するに特定地域への集中である。政府にとやかく命じられる前に、自ら考え、実行できる経営者が日本にはいないのかと思ってしまう。
比喩的に言えば、今の多くの大企業の社長はサラリーマンでしかない。企業のトップになっても、優秀なサラリーマン根性が根底にあるものだから、政府から「こうした方がいいのでは」と言われれば、「少し考えさせてください」と返し、その少し後「それに沿うように努力させてもらいます」と答えるだけなのだろう。
多様性は重要な概念である。多様性とは、もう少しセンスのある表現を使えば、独自性である。政府が言おうが、世間の流れがどうあろうが、「これや」と思った信念、技術、経営などを貫くのが本来の企業トップである。毀誉褒貶なんて「知ったこっちゃない」、「批評家、評論家は現場を知らない、黙っとけや」がトップの理想像だろう。もちろん失敗はつきものなのだが、その失敗を極端に恐れるのが対極にあるサラリーマンである。
日本には本当の意味での多様性が欠けている。均質な、平均的な「いい子」が育つだけだから、海外との競争に勝てる企業が数少ない。
そもそも東京に集中することからして、「お上の意向」と「他社の動向」を大いに気にしている証拠である。インターネットの時代、どこにいても情報は手に入る。直接に話をしたければ、交通手段の発達した時代だから、何時でも何処ででも、可能である。むしろ地方にいた方が、変な雑音が少なく、自由に発想できる上に、必要となればすぐにでも情報通の元に馳せ参じ、意見を確認、交換できる。だから拠点の立地の上で、地方は理想である。
石破さん、地方再生、創生を訴えながら、その途上で政権を失った。もっと企業に「東京から、政府から離れろ、何のプラスもない」と訴えるべきだった、そうであれば「ほんま、深く考えているんやな」と、シンパが増えたのではないか。

2025/10/17


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