
日室ヶ岳(城山)から林道の峠に戻り、次に大江山の千丈ヶ嶽を目指す。林道を西へと歩き、平家の落人村とされる北原に入る。耕作放棄の棚田が多い。村中から南に向かって沢まで下り、再び西へと沢沿いの林道を上がる。標高120m付近からの登り直しである。
林道は奥北原の手前で北へと向きを変える。村落を過ぎると清滝不動明王の小さな社が川沿いにあるので拝んでおいた。
林道が沢から離れ、大江山の山腹を上っていく。大江山参拝の山伏が吹く法螺貝の音かなと思えるようなチェーソーの音が何回もした。タタラ遺跡が沢の奥にあると記憶していたから、余計にそう聞こえたのだろう。
林道の3つ目のヘアピンカーブの箇所に大江山登山道の標識があり、広い踏み跡が山腹に入っていた。踏み跡が日室ヶ岳の場合のように不確かなら、遠回りだが林道をそのまま上がろうと考えていたのだが、「これなら使える」と登山道に入った。赤いテープもあった。
道は尾根を直登して鬼岳稲荷に出る。林道ができる前、元伊勢神宮皇大神社から大江山への参拝ルートだったようだ。とはいえ歩かれなくなって久しいようで、登山道に入って10分足らずの場所に、稲荷神社がかつて2つあったことを示す石碑があった。社はない。
広葉樹林の林の中を急登するようになり、その後、右手の小さな沢沿いに尾根を巻き、再び尾根へと登る。この沢沿いの巻き道が一番分かりにくい。
尾根に戻ると、後はジグザグの登りが続く。迷いそうな箇所はないものの、倒木がある。最後に建物の下を通り、林道に出た。鬼岳稲荷神社があり、休息所、水場、トイレもある。林道を車で来た場合の終点でもある。
休息所からは東側の展望がある。大江山連山の東端に位置する赤岩山方面、若狭湾の名峰である青葉山の先端部分、そして先に登った日室ヶ岳が見えた。遠くには愛宕山と思えるピークもあった。
稲荷神社を拝み、小休止の後、千丈ヶ嶽に向かった。階段を上がり、ブナの大木を見つつ広い稜線に出る。815mの独立標高点のコブを越え、少し下ると赤石ヶ岳への分岐だが、まずは千丈ヶ嶽である。緩やかな尾根を登ると、広場のような山頂はすぐだった。小屋もある。高校生の団体の到着と出会ったので、とりあえず三角点(832.2m、点名は千丈ヶ岳)をタッチしておいた。
山頂からは東と西の展望があるものの、灌木が邪魔をして抜群とはいえない。しかも2回目の登頂であり、帰りの列車の時間も気になり始めたため、あまり気合が入らなかった。急ぎのメールを送り、最大の目標である赤石ヶ岳を目指すことにした。
写真、上は千丈ヶ嶽の山頂、下は赤石ヶ岳の登りから見た千丈ヶ嶽である。


2025/10/26