川北英隆のブログ

山の師匠を訪問する

東京に出てきた。何の用事かと言うと、長らく会っていない複数の識者かつ恩人を訪問するためである。
今日は久しぶりに世田谷区まで行った。元上司だった簑島さん逝去の知らせよりも前に計画していた。訪問したのは、僕が1977年に通商産業省(今の経済産業省)に派遣された当時の課長かつ上司だった宮田満さんである。90歳になられた。
山とスキーが経済知識の吸収と同じくらいに大好きな課長だった。仕事では本を読まされ、そのポイントを発表させられ、最終的には『日本の未来像 10年後のシナリオ』(東洋経済新報社、1978年)にまとめさせられた。これにより、社会や経済を統合的に見ることを教わった。
その合間に、ある課員と僕は山に、他の課員はスキーにと駆り出された。それが課内のコミュニケーションに繋がっていた上に、旅行の体験や旅行での飲食から新たな発想が生まれたようだ。僕にとっては山へと一緒に行き、歩き方、計画の方法、山などの観察方法などを学んだ。
宮田さんは山とスキーのおかげだろうか、体はいたって丈夫である。見た目も、何年も会っていないにもかかわらず、大きく変わったとは思えない。そうそう、6年前だったかに会った時も今回もそうだったのだが、老人特有の弛んだ顔つきは皆無に近かった。80歳だと言っても通用するだろう。耳は少しだけ遠いようだが、大きな問題はない。
唯一問題なのは、本人曰く「目」である。緑内障による視力障害が酷くなっているとか。7年前だったか、スキーをしていて凹凸が見えにくくなり、気づいたと言われていた。
80歳を超え、90歳にもなると何らかの支障が生じるのは当然だろう。その支障が何の機能に対して生じるのか、それが致命的なのかどうなのかは、運なのか、遺伝的なものなのか、不注意なのか。
僕の今までの経験からすれば、若くしての多くは不注意が原因なのだが、後期高齢者になると遺伝や運によるところも大きくなろう。遺伝は仕方ないとして、運の変な罠だけにはかかりたくないと思っている。

2025/10/31


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