川北英隆のブログ

山での危険・番外編-1

山のことを思し始めると、いろんなシーンが浮かんでくる。先日、怖い本命がヒトだと書いたものの、そういえばと、「怖かったような」記憶が間欠泉のように湧き上がる。
山小屋ではいろいろとある。そこでの最大の敵はネズミだろうか。
「ネズミに鼻をかじられた」と聞かされることもあるが、自分で体験したのはもちろんのこと、身近な被害者もいない。あったのは食べ物をかじられることだ。東北の百名山の1つ、朝日岳に何人かと登った時、釣りキチ三平に登場する大鳥池の小屋に泊まった。その夜、近くに寝ていた知人の食べ物(実は全員の食料)が被害にあった。
南アルプスの聖岳の西、兎岳の避難小屋で泊まった時、その小屋が汚いうえに傷んでいた。床に節穴のような隙間があり、そこからネズミが顔を出すかもしれない。食べ物を直接床に置くと危険だと思い、どうしたのか忘れたが、ネズミ対策だけは行った。
その小屋、夜中にポタポタと音がする。聞き耳を立てて安全を確認した後、懐中電灯をつけると、屋根を支えている鋼材に露がついていた。その落ちる音だった。加えてカマドウマ(いわゆる便所コオロギ)もいたから、久しぶりのヒトに喜んで跳びはねていたのかもしれない。
小屋での思い出といえば四国の剣山である。出張の露払いに登り、三嶺まで縦走した。その途中、丸石の避難小屋に泊まった。小屋(35年前の11月)は半分壊れ、壁の一部がなかったものの、あまり寒くはなかった。
小屋に床はなく、その代わり刈った草が敷き詰められていた。そのふわっとした感じに喜んで寝ていると、夜中に背中がゴソゴソする。「ヘビか、嫌やな、怖いかも」と思ったが、動く感じがニュルっとした「線」ではなく、「点」である。「ネズミか」と判断し、他に寝る場所もなし、食べ物を取られないようにリュックに詰め直して寝直した。
と書いて思い出した。草の下には小屋の扉のような板切れらしき感触もあった。その下にネズミが暮らしていたのかもしれない。
怖いという意味ではスズメバチがいるが、こちらは扱い慣れている。というのも子供の頃、クワガタなどの虫取りにはスズメバチと必ず出合ったから。1対1の場合、こちらから攻撃しなければ大丈夫である。ただし山道の脇に巣があると要注意だ。丹沢や京都の山では巣と出合った。とくに京都の山のスズメバチはオオスズメバチで、しかも土中に巣を作っていたた。このため歩くと巣に振動が伝わり、それによってハチが攻撃モードに入るかもしれない。遠巻きにそっと歩き、何とかハチを避けた。
動物、ヒト、クマ、イヌだけでなく、山ではいろいろと出現するものだ。出合うと嫌な場合もあるが、後から考えると、その山の魅力の1つに変わっている。

2025/11/28


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