
東京で知人3人と、2年ぶりで飲み会を開いた。3人は僕と同級、1人は1つ下ながら、この年齢になると大差ない。そんな75歳前後の近況である。
いきなり話題が「耳が遠い」から始まった。幹事役が個室を予約したのも、自分自身が耳の遠さに悩むようになったからだとか。同じフロアにたくさんの席があれば、会話が聞き取れなくなったそうだ。確かにガヤガヤしていると聞き取れないことはあるが、居酒屋ならともかく、ちゃんとした店ならそこまでのことはない。
書き忘れたが、今回の会場は超高級ではないが、多分一流ホテルのフレンチレストランだった。秘密の話をするわけでもないから、個室を予約する必然性はなかったと思う。
「耳が遠い」から白内障へと話題が展開し、脊椎間狭窄症の手術にも話が及んだ。そんな段階で1人が、「病気の話ばっかり、明るい話題にしようや」となり、一区切りついた。
とはいえ、その後も話の本質が年齢に関係してしまった。僕を含めて4人のうち、2人は資格をベースとした自営業者、つまり弁護士と会計士(仕事は税理士のもの)である。顧客(クライアント)がいるから、「もしもポックリ死んだら、引き受けている仕事の後処理をどうするのか」という話題になった。
「ポックリが一番楽やん、仕事は誰かに引き継いだらええわけやし」と言ったのだが、顧客の要求や状況を簡単には引き継げないらしい。そうはいっても「税理士の仕事は定型的なものが多いので比較的簡単」ながら、「弁護士は個別性が強い」と弁護士が言っていた。だとすれば、元気なうちに仕事を誰かに引き継いでおけばと思うのだが、仕事が大好きなのか、仕事を辞めると健康的な生活を送れないのか、収入がなくなり財産が減るのが嫌なのか、理由は不明だった。
そんな、ある意味での与太話が続いたわけだが、収穫もあった。もう1人は会計業界の有名人なのだが、のれん会計について、以前(10/3)に書いた斎藤静樹さんと同様、国際会計基準(IFRS)の減損方式に懐疑的だった。斎藤さんの影響を受けているのかもしれないが。
そんな久しぶりの会なのに、非常に早くお開きになった。というのも料理がままごと的だったから。多少腹の足しになったのはステーキだけだった。とはいえ、真面目に肉を食べれば2口だった。その小さな肉を、時間がたっぷりあったので、1切れを3つに刻んで食べた。後の皿は、「田舎料理でもええさかい、スズメの餌だけはよしてや」の量である。
勘定はというと、6万円少し(1人1.5万円)を割り勘で払った。全体で個室料金、料理、生ビールが合計5杯、赤ワイン1本、ウーロン茶1杯だったと思う。一流ホテルのフレンチ、今の価格は高い。そうだとすれば世の中の給料が上がらないことには、ほとんど誰も食べられなくなる。僕はというと、率先しては絶対に食べない。自滅的絶滅危惧種か。
2025/11/05