川北英隆のブログ

どうする国債という不良債権

国債価格が凄まじい。今日は少し戻したようだが、昨日は「暴落」という表現がふさわしい状況だった。残念ながら一般投資家が債券市場を見るというか、(サッカーではないが)観るのは簡単ではない。だから、日経新聞以外に取り上げる日本の新聞社はほぼない。
通常、債券は株式と違って値動きが少ない。決まった金利(クーポンとも呼ばれる)が支払われ、変な企業や外国の債券を買わない限り、満期時に元本がちゃんと戻ってくる。だから額面100円で発行された債券が90円になる(つまり10%の下落)は大変な出来事となる。
かつて1978年から79年にかけて発行された日本の6.1%利付国債(略称ロクイチ国債)は、額面100円が72円にまで下落した。市場金利が上昇したので暴落したのだが、当時は大騒ぎになった。銀行は「国債を買えない」、正確には当時の奉加帳方式(シンジケート団という談合的な組織)では買えないと、国債を拒絶する姿勢を見せた。それが国債市場の変革の大きな契機となった。
今回、ロクイチと同じ年限の10年国債は、額面100円が87円程度まで下がっているようだが、まだましというべきか。悲惨なのはより満期までの期間の長い30年債、40年債である。30年債は50円割れ寸前、40年債には38円台に下落した銘柄まであるとか。
そんな暴落債券について、その債券の発行当初、誰が買ったのかというのが、実は陰ながら大問題になりつつある。買っていたのは生命保険会社、年金基金、信用金庫や信用組合を含む銀行である。それらの金融機関や組織にとって、安心なはずだった国債価格が大幅下落したのはショックのはずである。
ところで金融機関は金融庁の監督下にある。日本の金融システムが危機的状況を招かないようにと(たとえば取り付けが発生しないようとにと)、金融庁は金融機関に対して機会のある都度、要請している。これに一枚加わっているのが日本銀行である。
繰り返せば多くの金融機関は、前日銀総裁が主導した異次元の金融緩和政策において、30年債、40年債の利率が比較的高かったから(ゼロよりほんの少し金利が高かったものだから、といっても1%未満だったが)、「しゃあないな、少しでも稼げればいい」と保有した。
それが今や裏目に出ている。日本の国債といえども、投資金額の半分を割れば、会計的に何らかの損失計上を求められる可能性が高い(初めてのケースだから特例の可能性もあるのだが)。
思うに、金融機関経営の健全性を常に求めている金融庁や日銀が、これまで金融機関に対してどのような指導をしていたのか。国の発行する債務証書が国債だから、何の問題もないと判断していたとすれば、価格が半額未満になった現状をどのように説明するのか。もしも盲目的に「資産としてのリスク問題なし、OK」としてきたのなら、あまりにもいい加減である。金融市場を知らなすぎたということになる。
「いやはや」だろう。金融庁と日銀と政府(事務局は財務省)とが、実はグルだったと言われないような、適切な対応が今すぐ必要である。困ったことになったものだ。

2026/01/21


トップへ戻る