
マサイのロッジで仮眠し、22時半に起きた。オルドイニョ・レンガイに登頂するためである。風邪のため眠りが浅く、調子は今一つだった。現地ガイドは、日の出前後に登頂し、すぐに下らないと暑さでやられると説明した。「ほんまかいな」だったが・・。
朝食兼の行動食を受け取り、23時にロッジを出た。標高1100m地点の登山口まで車で向かった。帰りに確認したところ、四駆なら入れる車道がある(車の踏み跡のようなもの)。
登山口でヘッドライトを装着し、歩き始めた。0時半だった。道は草原の中に付けられている。時たまアカシアが生えているものの、若草山の斜面を登るようなものだった。そんな道が暗闇の中、延々と続く。登山道の傾斜が徐々に強くなり、同時に崩れやすい火山灰と岩の箇所も現れてくる。
中間地点付近で、テントを張った地元民がいた。後でガイドに聞くと、清掃のために登っていたようだ。マサイにとって神の山だからか。
その先で傾斜がますます強くなり、やがて溶岩の中にできたゴルジュ状の隙間の中を歩くようになる。隙間がなくなると溶岩の上に出て歩く。幸い岩は固く歩きやすい。夜が明けてきたので登る先を見ると、全体が大きな溶岩の隙間になっていた。
隙間を脱出すると後は普通の火山のように、灰の積もった上を歩くようになる。キク科の植物が茂っていて、ようやく高山の雰囲気に包まれる。
ただしオルドイニョ・レンガイには特徴がある。白い火山灰というか噴出物が目立ち、それが結晶化していた。オルドイニョ・レンガイからの噴出物は(炭酸塩の多い)ナトロカーボナタイト溶岩といい、温度が低く(500から600度)、冷える段階で空気中の水分と反応してアルカリ性の強い炭酸ソーダになり、それが白く見えるのだとか。熱気の噴出孔もあり、通常の非常に硫黄臭い火山とは違う噴気を放出していた。
キク科の植物の中の登りが終わると火口壁だった。すぐに火口壁に着く。着いたのは7時10分、6時間半以上歩いたことになる。着いた火口の高度は2878mだそうで、そこに山頂の看板があった。ただしオルドイニョ・レンガイの高さは2960mとあり、ガスの合間にもう少し高い火口壁も見える。現地のマサイガイドは「この先は難しい」と、連れて行ってくれなかった。聖域なのかもしれない。
火口壁にしばらくいると、ガスっていた山頂が一瞬晴れ、火口の全容と白い火口丘が見られた。それに満足し、涼しいを通り越して寒い山頂を後にし、往路を下った。ゴルジュ状の隙間の下りは問題なかったが、それを過ぎると火山灰と岩によってスリップしやすい。下を見ると裾野に草原が広がり、細かい谷が走っていた。
下るにつれて暑くなった。木のない斜面だから当然であり、ガイドは「今日は曇りがちだからいいが、普段はもっと暑い」と。登山口に戻ったのは11時半過ぎだった。11時間の登山が終わった。
写真、上はオルドイニョ・レンガイの火口である。火口丘として新しく噴出した白い巨塔が立っている。下はゴルジュ状の下りである。迫力はあるが、この箇所が一番歩きやすかった。


2026/02/27