川北英隆のブログ

松本紘氏の逝去

昨日、松本紘氏、元京都大学総長の逝去が報じられた。2003年に国立大学が独立行政法人化し、ほぼ四半世紀が経過した。その後の京都大学の総長は何人かいるが(思い出すのもかったるい)、その中で松本氏が飛び抜けて活躍したのではないだろうか。
松本氏の特徴は「動いた」ことにある。思いつき、正しいのではないかと考えたことを可能なかぎり実行の移そうとした。このことは2015.07.02のブログに書いたように、松本氏の徹底した負けず嫌いに発していると推察している。この松本氏と比較し、他の総長は動かなかったと感じる。松本氏の前任者と後任者がとくにそうだと思う。
2015年のブログに書いたことながら、松本氏は京都大学の規定を変え、2期12年間の総長職を可能にしようと奔走した。つまり自分の6年間の任期が切れる直前に規定を変え、もう6年間総長に留まろうとした。その理由は「やり残した仕事がある」と思ったからだろう。しかし大学の「伝統」を変えられなかった。6年での任期切れが確定した時の松本氏の落胆ぶりは誰の目にも明らかだった。
負けず嫌いが行動の原動力だったということは、ストレスの多い生き様だったと思う。享年82歳、今の日本人として短命である。多分だが、ストレスが健康を蝕んだと思う。それだけ自分に、そして社会が与えた使命に忠実かつ誠実に生きたということでもある。
同じ町、同じ高校で育ち、縁あって同じ大学で数年間議論した者として、松本紘氏のご冥福を祈らずにはいられない。

2025/06/18


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